「ゆっくり茶番劇」の商標って結局どうヤバいの?

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この記事について

 この記事は、「「ゆっくり茶番劇」の商標って結局どうヤバいの?」です。

 本当は、ひっさしぶりに池袋に行った話を書こうと思っていたのですが、ぶわああって燃えていたので、ちょっとめもしてみることにしました。

 

 結論から言うと、ゆっくりのアフェリエイト動画とかで稼いでる人以外は、とりあえず放置でOKだと思います

 なお、記載の内容は、いつも通り個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません。

 

ゆっくり茶番劇

 そもそもの「ゆっくり茶番劇」とは、なんかうちらくらいの世代からすると、コミケとかで売っていたシューティングゲームに出てくる、東方キャラを潰したような感じのSDキャラの出てくる動画を指すようですね。

 

 大体、なんかしらの内容を茶番劇的に説明してくれる感じで、大体かつての週刊誌的な層の内容だと思います。

 個人的には、ゆっくりだけの方がしっくりくるのですが、FF14勢方向けに超ざっくり説明すると、大体モンクさんが死んで人でなしになるはるうららの解説動画みたいな奴です。

 

 今回は、これを東方関係の著作権者に無断で商標出願した上、登録されちゃったらしく騒ぎになっているようでした。

 ちなみにどんな感じで登録されたかとかは、下記のj-platpatとかいうだっさい名前のサイトとかで検索できます。

 

◎サイト:

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat [JPP] (inpit.go.jp)

 

◎ゆっくり茶番劇の商標公報

j-platpat

 

 商標公報の見方として大事なところは、2か所あり、左の欄の【商標】という項目(および右の図)と、 【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 という項目です。

 

 1つ目の商標という項目は、実際に登録されている商標になり、今回は「ゆっくり茶番劇」という文字商標になります。

 超雑に言うと、この「文字」が使われているとダメなやつですね。

 例えば「ゆっくり解説」とかだったら、完全に同一ではないので、商標権の効力に含まれるかもしれない類似の範囲かというと、審判官とかの判断にかかります。

 

 2つ目の商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務という項目は、登録商標が、ここに指定されている商品とかに対して効力を持つというものです。

 この中に該当もしくは、類似するものでなければ、効力が及ばないといった感じの情報になります。

 

 今回だと、「インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),ビデオオンデマンドによるダウンロード不可能な映画の配給」辺りが入っていますので、Youtubeの動画とか考えると、そこまで的外れな出願ではない印象を受けます。

 

商標の使用について

 まずこの登録した某さんなのですが、非常にむかつくことに、商標使用登録のガイドラインを動画にしてやがるんですよね。

 通常ガイドラインを動画にするバカなんかいませんし、完全な炎上商法だと思いますので、基本的には無視で良いと思います。

 

 まあ、とりあえずそちらを超ざっくり見ると、商標の使用とは、営利目的の使用に限られるとあるんですね。

 この時点で、「ゆっくり茶番劇」を使うことでお金が発生してない人には、前述の通り影響がありません。

 まあ、Youtubeで収益化とかできてると、話は変わってくるかもしれませんが。

 

 ちなみに、そもそもが、このガイドラインを見るまでもなく、商標の使用とは、業として、つまり、超雑には、お金稼ぎとしての使用を指します。

 具体的には商標法の2条辺りに書いてあるのですが、以下のような感じになります。

 

第二条

この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

<https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=334AC0000000127>

 

そもそもなんで登録されちゃうの

 そもそもなんで登録されちゃうのというお話ですが、それは、商標登録の際の条件である登録要件に違反していなかったからです。

 超雑には、商標法の3条と4条のいずれかに該当すると、役所からダメって連絡が届くので、通常は登録されません。

 

 ゆっくりの饅頭は、東方のキャラじゃん、なんで!?みたいな声も聞こえそうですが、そういう拒絶理由が明確にはないのでそうなります。

 

潰せないの

 そして潰せないのとかって話になっていますが、とりあえず通常のルートでは、署名とかは無意味なので、炎上して動画の再生数爆上げの某さんが喜ぶだけだと思います。

 他方で、実際に登録されてしまった商標を潰す方法としては、異議申し立てと、商標登録無効審判の2つがあります。

 

 1つ目の異議申し立ては、登録後の商標掲載公報発行後、2か月以内に認められる比較的簡単な手続きで、他人の商標をぶっ潰せる手続き(商標法43条の2)です。

 但し、今回は、さっきの公報を見る限り、発行日は、「令和4(2022)年 3月 4日」となっており、ぎりぎり2か月を過ぎた辺りになりますので、この手続きは使えません。

 

 というか、この期間を過ぎたので、公に炎上させ始めたんじゃないかと思います。

 というのも、異議申し立ては、請求人適格が何人となっているので、だれでも請求できる結構強い制度なんですね。

 

 2つ目の商標登録無効審判は、その名前の通り、審判になってしまうので費用や手続きこそめんどくさいものの、登録された商標を無効にできる手続き(商標法46条)です。

 異議申し立てとは異なり、手続きには、期限がないのですが、請求人適格が利害関係人に限られる点がちょっと使いづらいです。

 異議申し立てのように、お金が余ってて東方のファンの石油王だから、とりあえず訴えておくわ、みたいなのは使えません。

 

 また、最大の問題として、限定列挙されている商標を無効にするいずれかの理由(商標法46条1項のやつ)を、主張して審判官に認めさせないといけないため、かなり骨が折れる気がします。

 この無効にする理由の一部には、前述の登録要件が含まれるため、審査時にOKが出ている都合で、それを超えないといけないからですね。

 多分試験問題で出てきたら、悩んで4条1項19号辺りを書く気がしますが、そもそも審査時にOKが出ているものが認められるかどうかはかなり微妙の気がします。

 

まとめ

 超雑には、『東方Projectの著作権自体を持っていると思われる、ZUNさん(博麗神主さん)に任せておくのが一番だと思います。

 燃やせば燃やすほど、某さんが炎上商売でアフェリエイト的に儲かるだけで、第2の某さんが出てくる気がしますね。

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kuroneko

とある企業の知財部で働く一応弁理士です。 国内特許系メインの日々の業務とか、試験対策ネタとか書いています。 受験時代は某L社系列の某B,M講師をメインに習っていました。 Copyright (C) 2010 - 2017 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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