TLで話題になっていたので、「日本語の作文技術」(新装版)を読んでみました。本田勝一さんって人の書かれた本で、講談社から出ている本ですね。内容自体は、かなり昔に出た相当重版がかかっていた文庫本の内容を再編集したようなタイプです。
今回は、実務向けとして読み始めたはずなのですが、内容として一番インパクトがあったのは、学校で習う国語の内容では、日本語の書き方は全く上達しないと言う辺りでしょうか。確かに国語の授業では、「書け」「読め」とは言われるのですが、どのように書けと言った辺りは、ほとんど指導された記憶がないですしね。
この辺りのどのように書けと言った辺りが、この本では、筆者の方の作文規則みたいな感じで具体的に書かれています。確かに意味が取れなかったり、誤読するような例文を読ませた後に、解説に入るので、説得力はかなりある感じです。
かなりいろんな規則が書かれているのですが、特に参考になりそうだったのは、以下の3つの規則でしょうか。
1つ目は、修飾節と修飾句とがあったら、修飾節を先にする規則です。例えば、下記のような猫を修飾する文章が2つあったとします。
1.黒い猫
2.毛が長い猫
上記の順に全部くっつけると、文章は、下記のようになります。
・黒い毛の長い猫
ちょっと例えとしてうまくないのですが、この場合は、黒いのが毛なのか、猫なのかはっきりしない感じになります。まあ、実際は、毛が黒ければ、猫も黒いのですが。この点で、前記の規則に従って修飾節を先にしてみます。
・毛の長い黒い猫
上記の場合は、黒いのは猫になるので、元の文章通りの意味合いになると言う事のようです。
2つ目は、複数の修飾語があったら、長いものほど前にするという規則です。例えば、下記のような猫を修飾する文章が4つあったとします。
1.黒い猫
2.毛が長い猫
3.警戒心の強い猫
4.ネズミを捕まえる猫
すると、意味合いとしては、黒い毛の長い警戒心の強いネズミとも、黒い毛の長い警戒心の強い猫とも取れたりしてしまう場合があります。この点で、先ほどの規則に従うと、以下のようになります。
・ネズミを捕まえる警戒心の強い毛の長い黒い猫
上記の場合は、確かに前記1~4の通りの内容に読める気がします。
3つ目の規則は、修飾語の中で、大状況や、強調したいことは前に持ってきてもよいと言う規則です。例えば、私は黒猫が好きなので、「黒い猫」の部分を強調したいと思ったとします。この場合は、下記のように「、」を使うと解りやすいようです。
・黒い、ネズミを捕まえる警戒心の強い毛の長い猫
「黒い」と「ネズミ」との間が「、」で区切られているので、誤読が減る気がしますね。
また、一度決めた規則は、一つの文章で守り続けることが大事なようです。何故かと言うと、、修飾語の長短で、語順をどちらを先にするかと言う辺りは、人によって主張が異なるようで、本書内でも結構な割合を取って触れてあるためです。
ちなみに他にも、「、」はなるべく使わないとか、段落を変える基準とか、いろいろな規則が書いてあります。規則の基準が、解りやすい文章を書くと言う視点なので、参考にしやすいと思います。まだうちくらいのレベルとしては、まずは、大原則辺りをマスタして、ちょっとでも生かして行きたい感じでした。
但し、日本語は述語メインなので、必ずしも主語は必要ではないとか、例えば英語に訳しやすい語順の日本語はおかしい等の実務的には、マズそうな内容もありますので、ある程度の取捨選択は、必要だと思います。日本語に対する分析としては、結構面白かったです。文章の書き方について、ちょっとびっくりしてみたい方にもお勧めかもしれません。
kuroneko
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