この記事について
この記事は、「JASRACが悪いと言うより、音楽教室の自爆みたいになってる判決が出てました。」です。
知財ぷりずむの2020年の12月号に、例のJASRACと、ヤマハとかの音楽教室が揉めた事件の記事があったので、備忘録代わりにちょっとめもしておきます。
いつもの超ざっくり記事のため、気になった方は、専門のサイトも当たってみると面白いと思います。
事件の概要
訴訟事件の概要としては、原告が音楽教室を経営するヤマハとかで、被告がJASRACで、音楽教室での演奏に対して著作権法の演奏権が及ぶかどうかの確認訴訟みたいな感じになっています。
ここで重要なのは、民事訴訟の類型としてが、大きく給付の訴え、確認の訴え、形成の訴えと言うものがある点です。
良くある交通事故とかで損害を受けたから金払えとかの累計は、最終的にお金を払えなので、給付の訴えとかになります。
つまり、JASRACから、ヤマハとかに対するお金を払えと言う訴訟ではないということです。
一方で、確認の訴えというのは、例えば、給付の訴えの類型では、被告になるサイドの人が、先に裁判所に訴える形になります。
今回は、具体的にどういう訴訟なのかと言うと、ヤマハが、音楽教室での演奏に、著作権法の効力が及ぶかどうかを確認してくれって感じで裁判所に訴えています。
JASRACは、著作権上の使用料について代理徴収している都合で被告になっているようです。
判決
判決は、超雑に言うと、原告のヤマハとかが負けました。
概要としては、音楽教室における演奏に、演奏権が及ぶという感じです。
確認の訴えなので、ヤマハとかは、黙っておけば出なかった自分たちに不利な判決を、わざわざお金を払ってゲットした感じになります。
感想
感想としては、常に悪評の付きまとう悪名高いJASRACが嫌いと言う点を差っ引いてもちょっと違和感を覚えました。
普通の裁判は、基本的に訴えに対して、対応する条文に当てはまるかで判決が決まります。
今回は民訴なので、お約束の確認の利益の有無から始まって、演奏権に該当する著作権法の22条、演奏権の消尽とかに関する抗弁の検討になります。
確認の利益については、どうも数年前からJASRACが音楽教室に対して、使用料を徴収するスタンスだったらしく、当然ありそうです。
問題は、著作権法の22条です。
著作権法の22条は、下記のような感じです。
〇著作権法22条:
第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
条文を見て頂くと分かるのですが、「公衆に直接見せ又は聞かせる」なんですよね。
いや、音楽のレッスンって、先生と生徒とで個室とかでやりますよね。
どこに聞き手の公衆がいるのか意味が分からなかったからです。
ざっくり判決を読むと、練習をしている生徒が公衆にはめられているようで、ちょっとイメージと違う気がします。
誰かに聞かせてお金を取ると駄目みたいな演奏権の一般的なイメージとは、かけ離れている気がしますね。
ちなみに判決上の演奏権の対象となる主体は、いつものカラオケ法理で、営利団体である音楽教室のヤマハとかなので、生徒として通ったり、個人で練習する分には、特に気にする必要はないのですが。
まとめ
このまま通ってしまうと、最終的に今まで音楽教室とかで使われていたことにより演奏されてた曲とかも、誰も知らない曲になったりして、副次的には、著作権者が損をする部分もあると思うのですが。
ちなみに、原告のヤマハとかは、当然控訴しており、現在は、知財高裁継続中の様です。
地裁の判決は、結構な頻度で高裁で全く違う話になってしまう場合もありますので、最終的な結果はまだ分からないようですね。
なお、JASRACの公式アナウンスは下記、いつもの判決文は、地裁のせいか、裁判所公式ではひっかかりませんでした。
〇JASRAC:

kuroneko
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